研究内容
発行元 imgadmin21 on 2021年1月27日(水)
近年は深層学習を用いた画像認識,バーチャルリアリティに関する研究を中心に行っており,人間の知的な活動を支援するシステムの構築を目指して,画像認識をする人工知能技術の活用,Virtual RealityなどのxRの活用,マルチエージェントシミュレーション,人とコンピュータの協調的な活動、に関する研究を幅広く行っていく予定です。
医用画像診断のAI開発
現在は医師がX線写真の診断を行いますが,人間である医師の診断には曖昧さがあります.
そこで,コンピュータ解析による定量的かつ定積的な診断の確立を目指して,さまざまな画像診断支援システムの開発を目指しています.
当研究室では人間の五感の8割を担う視覚を守るために,眼科の画像診断を支える技術確立を目指し,人間ドックや眼科外来で実施される眼底検査のためのAI開発を行っています.
今後は,病院の放射線科で撮影されるX線画像などから病気を見つけたり,病気の兆候を調べたりできるAI開発を進めていく予定です.
研究テーマ:
■糖尿病網膜症の診断支援
・敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いた病変画像の自動人工生成
・畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた糖尿病網膜症の初期病変の自動検出(日本医用画像工学会田中栄一賞(最優秀論文賞))
■緑内障の診断支援
・FCNによる視神経線維欠損領域の自動抽出
・視神経乳頭の形状解析
・畳み込みニューラルネットワークによる視神経乳頭の分類とGrad-CAMによる特徴解析
■眼科治療効果の定量解析
・U-net画像セグメンテーションによる蛍光眼底画像からの血管の自動抽出
・深層学習を用いた蛍光眼底画像からの病変検出と治療効果の定量的解析
・前眼部OCT(光干渉断層撮影)画像からの病変検出と病気の重症度推定
■放射線画像に関する診断支援
・胸部X線写真における肺結節自動検出
・胸部X線写真における胸郭境界の自動検出
Biometrics(生体認証)
眼底画像の血管解析の研究で培ってきた技術を応用して,高精度な生体認証技術の確立を目指しています.
2枚の眼底画像の照合技術が中心ですが,球状である眼の内側を平面撮影した眼底画像には撮影の度に歪み方が異なる課題の解決が必要です.
研究テーマ:
・生体認証のための眼底画像における血管像を用いた類似度算出法(画像電子学会最優秀論文賞)
・ICPアルゴリズムによる網膜血管のレジストレーションと類似度算出
マルチエージェントシミュレーションに基づいたレイアウト設計支援
複数(マルチ)の自律知能エージェントを利用して,単一のAIでは予測が難しい複雑な事象をシミュレーションすることにより,様々な問題解決に取り組んでいます.
自律知能エージェントは,周りの状況を認識しつつ決められた規則で自律的に行動するものです.
当研究室では,自宅やオフィスの家具を自立エージェントとして,各エージェントが適切な場所に自立移動していくことにより,インテリアのレイアウトを提案するシステムについてい研究しています.
このとき,利用者の好みの情報を利用して,各エージェントの行動規則に反映させることによって,利用者とフレンドリーなレイアウト設計支援システムの確立を目指しています.
また,2020年度は新型コロナウイルスの社会的な課題解決を目指して,マルチエージェントシミュレーションによる小型店舗のレイアウト評価の研究を行いました.
研究テーマ:
・人流のマルチエージェントシミュレーションに基づく小型店舗のレイアウト評価
・Proximal Policy Optimization を用いたインテリアレイアウト設計支援システムの開発
・主観的評価を用いたインテリアレイアウト設計支援システムの提案
視覚刺激・聴覚刺激が運動に及ぼす影響
人間の五感の約8割は視覚刺激と言われており、その次が聴覚です.
また,人間の刺激は他の刺激によって錯覚する感覚間相互作用の存在が分かってきました.
例えば,音楽を聴きながら行動すると集中力を高められると主張する人が多いので,音楽を聴きながら運動したときの筋肉への影響を筋電位解析によって調べました.
さらに,Virtually Realityによって視覚刺激を与えたときの運動への影響についても調べています.
研究テーマ:
・音楽による聴覚刺激が有酸素運動に及ぼす影響
・プロジェクションによる視覚刺激が有酸素運動に及ぼす影響
・Virtual Realityによる視覚刺激が垂直跳びに及ぼす影響
機械学習による歴史的遺産の画像認識
一般的に歴史的遺産の鑑定は学者などの有識者が行いますが、一般の人々が手軽に身近にある遺産の特徴をスマホカメラなどを使って調べられたら便利でしょう.
当研究室では,深層学習の一種である畳み込みニューラルネットワークを用いて,遺産の特徴を解析して提示するシステム開発を始めました.
研究テーマ
・仏像の自動分類を目指した畳み込みニューラルネットワークを用いた仏像の特徴解析